既存助成金が「生産性向上」で増額される しかし・・・

キャリアアップ助成金や人材開発助成金のような「人気」のある助成金に「生産性の向上」を実現させた場合、助成金が増額される仕組みが追加されています。

キャリアアップ助成金の変更点

1.コースの細分化

従来の3コース(正社員化コース、人材育成コース、処遇改善コース)が、新規コースも含めて8コース(正社員化コース、人材育成コース、賃金規程等改定コース、健康診断制度コース、賃金規程等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース)に細分化されました。

2.助成金上限額の変更

主な新コースで見てみると、昨年までの助成金額が、以下のように変更されています(3コースのみ抜粋)。

正社員化コース:1人あたり60万円 → 57万円

人材育成コース:1時間あたりの賃金助成金800円 → 760円

健康診断コース:有期契約労働者4人以上の健康診断を実施すると1事業所あたり40万円 → 38万円

3.生産性を向上させると上限が増額

2の上限額に増額され、以下のようになります(3コースのみ抜粋)

正社員化コース:57万円 + 15万円 = 72万円

人材育成コース:760円 + 200円 = 960円

健康診断コース:38万円 + 10万円 = 48万円

生産性の定義

厚生労働省が、助成金の増額対象とする「生産性」を求める式を公表しています。

 

 生産性 = (営業利益 + 人件費 + 原価償却費 + 動産・不動産賃借料 + 租税公課) / 雇用保険被保険者数

 

一方、経営者や、人事部門が気にする「労働生産性」を求める式は、

労働生産性 = 付加価値 / 社員の平均人数

ここで、付加価値 ≒ 限界利益(つまり、粗利益)と考えます。

 

生産性向上の定義

生産性労働生産性も分母は、要するに社員数なので、式の分子をどうとらえるかという、いわば生産性向上の定義が違います。
典型的な要素は、人件費です。労働生産性では、社員の人数を減らせば、分母が小さくなると同時に、人件費分の粗利益が増えるので、労働生産性が向上します。しかし、生産性では、その人件費が分子にあるので、社員の数を減らしても分母、分子ともに小さくなり、生産性の向上にはつながりません

生産性においては、給与を上げ(人件費増)、設備投資を増やす(減価償却費増)等の施策が重要になります。

生産性向上の基準

助成金が増額されるための生産性向上の基準は、支給申請時の直近の会計年度の生産性と3年前の生産性とを比較して、「6%以上」向上していなければなりません。

生産性の課題

生産性も労働生産性も式の分子に利益があります。利益を増大させることで生産性や労働生産性が大きくなることは、当然のことですが、これまでとりわけ日本の市場で声高に言われてきた「顧客満足度(CS)」についてどう考えればよいのでしょうか。一人の顧客にアフターサービスも含めてきめ細かく対応することで顧客満足度を高めてきた手法は、利益を薄くすること=生産性(労働生産性)を下げることになってしまいます。先進国の中では、日本の労働生産性の低さがたびたび指摘されていることから労働生産性の向上が、国の重点項目にもなっている昨今ですが、一方で、評価されている顧客満足度を落とさないよう俯瞰してゆかなければならないと思います。

   

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