「東大ルール」取り下げの波紋

「東大ルール」が昨今話題になっていましたが、12月19日にその東大が厚生省で記者会見を開き、「東大ルール」を撤回する旨の発表をしました。そもそもこの「東大ルール」とは何でしょうか。また、なぜ撤回したのでしょうか。

「無期転換ルール」

「東大ルール」を説明する前に、労働契約法第18条、平成25年4月1日施行の「無期転換ルール」から話を始めなければなりません。

「無期転換ルール」とは、労働契約に関して、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
平成25年4月1日施行ですので、この日に(通算)5年の有期契約で労働を始めた有期労働者が、平成30年4月1日付けで再雇用されれば、通算5年を超えることになるので、労働者の申し込みにより、次の契約は無期労働契約にしなければならなくなります。

「東大ルール」とは

「無期転換ルール」では、無期転換をするには通算5年を超えての再雇用が条件になるので、通算5年になる前に雇止めが多く起こるのではないかと懸念されています。「東大ルール」もまたこの雇止めの応用編なのですが、その方法が少し巧妙です。東大では、平成25年4月1日以降、教職員を正規に採用する以外は雇用期間は5年が限度とあらかじめ宣言して、この条件をのんだ人を有期契約労働者として採用してきました。「特任教授」と呼ばれている教授陣はみなこの契約で採用されています。パートタイムで仕事をする事務職などの職員も含めると、その数は8000人ほどいるそうです。
しかし、5年を超えてでも研究や職務を続けてもらいたい教授、准教授、助教やパートタイムの方々もいるわけで、一律5年で雇止めはしたくない、とはいえ予算などの関係でこの方々を全員無期契約にも転換できないという東大側の思惑があり、東大は、「クーリングオフ」という制度でつじつまを合わせました。クーリングオフとは、一定期間(6か月間)以上、時間をおけば、同じ仕事に復帰しても、前後の期間を通算しないというものです。つまり通算5年採用後、6か月間のクーリングオフ期間をおいて同じ職務に再雇用すれば、通算はできないので無期契約をしなくてもよくなります。

結局撤回、「問題提起で雇止めしにくくなる」と

この東大のやり方が昨今話題になり、他の大学や企業も同じことをするのではないかと懸念されていましたが、雇用の安定という法の趣旨を捻じ曲げているなどと批判があるなか、東大はこのルールを結局撤回することにしたと発表しました。その時の東大の言い分は、「東大ルール」が話題になり、多くの議論を生んだ結果、撤回ということになったのだから、今後は、他の大学や企業で雇止めをしにくい状況が作れた、これこそが目的だったのだというような趣旨のことを言っています。転んでもただ起きない姿勢に違和感を覚えますが、いよいよ平成30年4月1日に「無期転換ルール」が有効になります。無期転換については、今後とも注目してゆきたいと思います。

 

 

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