先日の最高裁の判決について

先日、最高裁判所で、正社員と非正規社員の給与等の扱いについて興味深い判決が出ました。
大企業では、2020年4月1日からすでに施行され、その他の企業でも2021年4月1日から施行される「同一労働同一賃金」について、各企業での扱いが揺れるであろう結果でした。

大阪医科薬科大学の賞与、私傷病欠勤補償

最高裁判所第三小法廷は、2020年10月13日、大阪医科薬科大学のアルバイト職員が、同一の業務に携わっているアルバイトにも賞与及び私傷病欠勤補償を支給すべきとした上告審裁判で、これらを正職員と同等でないのは、不合理ではないとしました。なお、控訴審では、夏季特別有給休暇についても認めるべきとした点は、合理性が認められ、この点、上訴審では争われていません(アルバイトの夏季有給休暇、7月~9月に5日間は合理性が認められた)。

今後この判決を参考に自社の就業規則に適用するときのために、少し細かな説明を加えておくと、「アルバイト」とは、この場合、大阪医科薬科大学内での呼称であり、原告の所定労働時間は正職員と同一(フルタイム)でした。ただし、本件のアルバイト職員は、職務の内容は軽易であり、配置の変更の範囲も正職員と相違していること、長期雇用を前提とした勤務を必ずしも予定していなかった(雇用期間)こと、また、アルバイト職員には契約職員や正職員への段階的な登用試験制度が設けられていたことなどから、大学側の扱いは、不合理ではないとなったようです。

メトロコマースの退職金

大阪医科薬科大学事件と同日、最高裁判所第三小法廷は、メトロコマースの売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給している一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理な扱いとは認められないとしました。なお、控訴審では、住宅手当と褒章金および早出残業手当について、正社員と契約社員とで扱いが違うのは不合理としていて、この点、上訴審では争われていません(契約社員への住宅手当、褒賞金の支給、正社員と同率の早出残業手当が認められた)。

メトロコマース契約社員の場合、売店業務に従事する正社員(早番遅番あり、売上向上・業務改善のサポート、トラブル処理等も業務範囲)と契約社員(売店業務に専従)の職務の内容に一定の相違があった点、また、契約社員の有期労働契約が原則として更新するものとされ、定年が65歳と定められるなど、必ずしも短期雇用を前提としていたものではない点、正社員は配置転換を命じられる可能性があった点、両者の間に退職金の支給の有無に係る労働条件の相違があることは、不合理であるとまで評価することができるものとはいえないということでしょう。

本件においては、契約社員においても正社員への登用制度が設けられていることも大きく評価されているようにも思います。

同一労働同一賃金安心パック

上記最高裁判決では、賞与や退職金あるいはその他各種手当の支給に関して、正社員と非正規社員を分ける絶対的な条件を示すのではなく、個々の企業での事情を判断したうえで、合理か不合理かを判断するとしています。したがって、このことからも正社員と非正規社員の給与に関する扱いを全く同様にするならそれに越したことはないとしても、非正規社員を必要とする企業の事情からして、どうしても給与に関する扱いに違いが出るのであれば、「どのような待遇差があるのか?」、「その待遇差を合理的にどのように説明できるか?」が重要になります。
中小企業においても2021年4月1日から施行される「同一労働同一賃金」までには、そんなに時間的余裕がありません。

ここでご紹介する「同一労働同一賃金」実務安心パックでは、Excelに入力するだけで、待遇差の合理的な説明用の書式が作成できるなどの点、当事務所では、このツールを推薦します。
自社での購入を検討する際、価格については、当事務所にお問い合わせください。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆Axis◇◆◇
アクシス社会保険労務士事務所
243-0021 神奈川県厚木市岡田3050
厚木アクストメインタワー3F C-6
046-230-5600
info@axis-sr.jp
◇◆◇Axis◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
046-230-5600
相談受付平日9:00~18:00