特定受給資格者等、適用範囲拡大

省令改正

職業安定分科会雇用保険部会(第114回)で説明があった「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案概要」の一部をまとめました(同様の記事が「労働新聞」8月29日号にあり)。
どのような内容か見てみます。

特定受給資格者の範囲拡大

1.賃金不払いを理由とする離職について、賃金の1/3を上回る額が支払期日までに支払われなかった月が1月でもあった場合、それを理由に退職した者は、特定受給資格者となります。
2.事業主が休業等の申し出の拒否など、育児・介護休業法等に規定する義務に違反した場合
それを理由に退職した者は、特定受給資格者となります。

有期雇用労働者の育児・介護休業給付の条件緩和

申出時点で過去1年以上雇用されていた条件は変わりませんが、
1.子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあることの条件は無くなり
2.子が(2歳になるまでではなく)1歳6か月になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかである者を除くの条件が緩和されました。

介護休業給付の対象家族の拡大

介護の対象が、「祖父母」、「兄弟姉妹」、「孫」の場合も「同居・扶養」しているという条件を無くしました。

 

これらの施行日は、平成29年1月1日です。

企業の対応

特定受給資格者になれば、雇用保険の基本給付(失業給付)の給付制限(通常3ヵ月間)が無く受給できるという退職者本人へのメリットですので、企業に金銭面の直接的な影響はないとも言えますが、今回の省令改正で、企業の対応に不満を持つ労働者が退職しやすくなることは確かで、その退職者から広がる企業イメージの悪化につながりかねません。
特に、育児・介護休業の申し出を特別の理由もなく拒否することで貴重な戦力を欠くことのないよう留意したいものです。

 

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106万円の壁と130万円の壁を整理すると

130万円、106万円

平成28年10月から「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」が施行され、その内容が「年収106万円」で区切られることから、これまでの130万円の壁が崩れるような印象を持っている方が多いようですので、ここでそれぞれの関係についてまとめておきましょう。
社会保険に加入しなければならない、現在の「130万円の壁」について確認しておくと、働き方の条件(基準)として、
(1)  1日の労働時間が、正社員の3/4以上
(2)  1ヵ月の勤務日数が、正社員の3/4以上
(3)  年収が「130万円」以上
です。

106万円の条件

これに対して、10月から施行される「106万円の壁」の条件(新基準)は、
(1) 1週間の勤務時間が20時間以上
(2) 年収が「106万円」以上(月収が「88,000円」以上)
(3) 雇用期間が1年以上の見込みがあること
(4) 従業員数が501名以上の企業(大企業条件)で働くこと
(5)   学生でないこと
です。

以上の条件(基準と新基準)を見比べると、「106万円の壁」から、学生、中小企業で働く人、働く期間が短い人は、除かれます。その他の人のうち、1週間の勤務時間が20時間以上(1日の労働時間は問われない)で月収が88,000円以上になる人が、「106万円の壁」の対象者です。

自分はどっち?

上記106万円の条件のうち、(3)、(4)、(5)に該当する人は、自分は106万円か130万円か気になるところでしょう。
わかりやすい例として、以下の例で説明します。
旦那様が厚生年金に加入している主婦Aさんは、大企業のP社と、中小企業のQ社でパートタイマーとして働いています。
1.P社では、週に20時間働き、月収が、5万円(年収60万円)、Q社での月収が、4万円(年収48万円)の場合:
P社での年収は、60万円 (< 106万円) なので、「106万円の壁」にあたりません。
また、P社とQ社の合計年収は、108万円 (< 130万円) なので、「130万円」の壁にもあたりません。
すなわち、Aさんは、P社、Q社の社会保険に加入する必要はなく、旦那様の被扶養者となります
(Aさんは、国民年金の第3号被保険者です)。

 

2. P社では、週に20時間働き、月収が、7万円(年収84万円)、Q社での月収が、4万円(年収48万円)の場合:
P社での年収は、84万円 (< 106万円) なので、「106万円の壁」にあたりません。
しかし、P社とQ社の合計年収は、132万円( > 130万円)
 なので、「130万円の壁」にあたります。
すなわち、Aさんは、P社、Q社の社会保険に
加入する必要はないものの、旦那様の被扶養者
から外れて、自分の健康保険料(税)と国民年金の
保険料を支払うことになります
Aさんは、国民年金の第1号被保険者です)。

 

3.P社だけで週に20時間働き、月収が、9万円(年収108万円)の場合:
P社での年収は、108万円 (> 106万円) なので、「106万円の壁」にあたります。
すなわち、Aさんは、P社の社会保険に加入してP社の健康保険が適用され、厚生年金保険料を
支払う
ことになります
(Aさんは、国民年金の第2号被保険者です)。

 

この例でわかる通り、「130万円の壁」が「106万円の壁」に代わったのではなく、働き方によってどちらかの壁を意識することになります。

 

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休業手当と休業(補償)給付、社員とパートの給付基礎日額

目線の違いが制度の違いをもたらす

手当とは、基本給以外の「心づけ」という意味合いなのに対して、給付とは「債務者の行い」というような意味合いなので、おのずと支給額の計算方法に違いが出ます。
例えば、休業手当と休業補償給付。それぞれの意味については、ここでは省略しますが、休業の日に一部就労時間があった場合の支給額の考え方に違いが出ます。すなわち、休業手当では、休業当日に平均賃金の60%以上の就業時間があれば、その日の休業手当は不要(60%が確保されているから)なのに対して、休業補償を行う場合、休業当日、平均賃金の例えば60%が就労済みだったとき、その賃金に、就労しなかった40%の6割(24%)を加えた84%が支給されます。

社員とパートとの給付基礎日額の計算方法の違い

休業手当や休業(補償)給付額の計算のもととなる平均賃金(=給付基礎日額)の計算方法が、社員とパートでは違います。
平均賃金(給付基礎日額)の原則の計算式は、算定すべき事由が生じた日以前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の総歴日数で除した金額です。
    平均賃金(算定基礎日額) = 3ヵ月間の賃金総額 / 3か月間の総歴日数
これに対し、パートは社員のように毎日就労するわけではないのでこの計算式では、平均賃金(算定基礎日額)が低くなってしまうため、3か月間に実際に労働した日数で除します。
3ヵ月間の賃金総額 / 3か月間の実働日数
さらに、パートは、1日の所定労働時間に満たない働き方をする場合もあるので、さらにこの計算式の60%を平均賃金(算定基礎日額)としています。
平均賃金(算定基礎日額) = (3ヵ月間の賃金総額 / 3か月間の実働日数) x 0.6

社員とパートの休業手当の違い?

したがって、考え方に不公平はないのですが、一見以下のようなことになります。

「休業手当は、平均賃金の60%」ですから、
社員の場合: 休業手当 = (3ヵ月間の賃金総額 / 3か月間の総歴日数) x 0.6
一方、パートの場合: 休業手当 = (3ヵ月間の賃金総額 / 3か月間の実働日数) x 0.6 x 0.6

なんだか、パートは損してるようですが、この違いは、就業形態の違いが計算式の違いになっているだけです。

パートさんの特典?

休業手当の計算式では一見、パートが損しているように見えますが、休業(補償)給付では、こんな特典があります。

休業(補償)給付額 = 休業基礎日額 x 0.6 x 休業日数

この「休業日数」というのは文字通り休業した日数なので、それが就労日に休業したのか公休日だから休業したのかの区別がありません。

つまり、土日の休日も、もともと就労しない平日も休業(補償)給付の対象になるのです。

 

平均賃金は、労働基準法の表現、給付基礎日額は労災保険法の表現。同じものです。

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時間外手当にまつわるエトセトラ(労使ともに誤解?)

例えば、年俸制給与

年俸制とはプロ野球選手の給与体系でよく知られていますが、会社員にも「年俸制」で働いている人は多くいます。この「年俸制」の意味を誤解していませんか?
「年俸制だから、労働時間に無関係に固定給与なんだ」と思い、それがなんだか会社に「評価」されている証のように思っていませんか。

例えば、”管理職”

「管理監督者には、労働時間、休憩、休日の規定が適用されない」と労働基準法にありますが、すべてのいわゆる”管理職”が「管理監督者」ではありません。少し前に、アルバイトを「名ばかり管理職」とした違法行為が問題になりましたが、正社員でも「管理監督者」ではないのに”管理職”と呼ばれて、“管理職”だから時間外手当(残業代)や休日手当が出ないのが当たり前と思っていませんか。

労使ともに誤解?

給与体系がどうであろうと、職位をどう呼ぼうと、実態が会社(使用者)と社員(労働者)という関係性である以上、法定労働時間、場合によっては、裁量労働制によるみなし時間制に含まれる時間外労働時間を超えれば、時間外手当(残業代)の対象になります。いわゆる”ブラック企業”ではない普通の企業でも、誤解に基づく残業代の不払いになっていることがあり得ます。

労働時間を管理しない?

以上見たように、残業代を支払うべきケースでも、その残業代を計算するためのデータである労働時間の把握が重要になります。「年俸制」の社員、”管理職”と呼ばれている社員は、「我こそは、この会社で認められたも者として、自由な労働時間で会社に貢献する」と少なからず思っているので、労働時間を正確に把握すること(そのためにタイムカードに刻印をしたり)をしません。実は「年俸制」であろうと「管理監督者」であろうと、深夜手当は支給されるわけですし、そもそも自身の肉体的、精神的健康管理という面でも、労働時間の把握は必須なのですが。

労働時間の把握

労働時間は、タイムカードやネームプレートのバーコード(QRコード)を読ませることでのみしか把握できないというものではありません。自身の業務用PCのログイン・ログアウトのログ、業務用メールの送受信時刻、オフィスビルの入退館記録など、本人が意識しない方法でも把握することは可能です。労使ともに、「正確な労働時間の把握は不可能」とあきらめず、労働基準法の正しい運用を推進したいものです。

 

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知らないと損をする雇用保険の手当て

基本手当

雇用保険に加入している多くの方は、何のために雇用保険料を支払っているかについては、自分が何らかの理由で失業したときに、失業手当て(正しくは基本手当)をもらうためだということはわかっています。そして、少し理解が進むと基本手当をもらえる期間に関して、その日数や待機期間、支給制限について知るようになるのではないでしょうか。つまり、失業している最中の基本手当を如何に滞りなく受給するかが関心の中心です。そして、受給期間中に再就職先が決まれば良しとして、めでたく再就職先で給与をもらうわけです。

再就職手当

しかし、再就職が決まったとき、受給期間中のどの時点で再就職が決まったかによって、さらに手当が出ることがあります(これを再就職手当といいます)。再就職が決まれば、再就職先での今後についてに関心が移ることもあり、「失業時にもらう手当」は、これで終わりとしてしまうようですが、ちょっと待ってください。受給期間の早いうちに再就職先が決まった場合、決まらなかった時に受給したはずの残りの基本手当は、どうなるのでしょうか。雇用保険法では、以下のように再就職の時期によって、残りの基本手当に代わる再就職手当を受給できます。
再就職手当の額
再就職先が、受給期間の3分の2以上を残して決まった場合(支給残日数2/3以上):
支給残日数 x 60% x 基本手当日額
再就職先が、受給期間の3分の1以上を残して決まった場合(支給残日数1/3以上):
支給残日数 x 50% x 基本手当日額
再就職が決まったら浮かれるばかりではなく、再就職手当がもらえるのであれば、再就職初日から1か月以内再就職手当支給申請書雇用保険受給資格者証を添えて、ハローワークに申請してください。

就業促進定着手当

雇用保険による失業、再就職関連の手当てはここまでではありません。さらに、就業促進定着手当をもらえるかもしれません。再就職手当は、残りの基本手当をもらうといっても、残った基本手当の50%か60%でしたが、それはこの手当のために残してあると考えても良いのです。ただし、再就職先での給与が、以前の給与と同じか、より高額となった場合は、この就業促進定着手当はもらえません。すなわち、以前の給与より再就職先の給与が下がりはするが頑張って働くという人に支給されます。
以前の給与との比較は、再就職後6か月間の給与で比較するので、申請は、再就職後6か月たってから2か月以内に行わなければなりません。
この手当の受給要件を詳しく書くと以下のようになります。
① 再就職手当の支給を受けていること
② 再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
(起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません)
③ 所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
就職促進定着手当の額
給与の差分の日額 x 再就職後の6か月間の日数
ただし、この計算による支給額には上限額があり、それが、再就職手当で残しておいた40%の基本手当までということになります(基本手当の残日数分の40%まで)。

雇用保険料を支払った分、自分がその恩恵を受ける立場になったときは、しっかりとその権利を主張しましょう。

 

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女性活躍推進法 「4月から何を始めれば?」 

行動計画の届出がまだ?

平成28年4月1日までに、労働者301人以上の会社(いわゆる大企業)では、「女性活躍推進法」に基づく「事業主行動計画」の策定、届け出等を終えていることと思います(労働者300人以下の企業は努力義務)。この時期にまだ「事業行動計画」の届出を終えていない大企業は、罰則規定はないものの、行政指導や勧告を受ける可能性があるので、届け出だけはしておきましょう。届け出先は、各都道府県労働局の雇用均等室です。
これから作成という企業は、厚生労働省が提供している「行動計画作成支援マニュアル」で、行動計画の作成イメージを持ったうえで、「行動計画作成支援ツール」を使って、自社の行動計画の目標や取組内容を比較的容易に設定できるので活用してはいかがでしょうか。

「女性活躍推進法」で、該当企業がすべきことは、

① 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
② 状況把握、課題分析を踏まえ、行動計画の策定、社内周知、公表
③ 行動計画を策定した旨の都道府県労働局への届出
④ 女性の活躍に関する状況の情報公表

ですが、「行動計画作成支援ツール」では、

Step1として、

 現状の把握を行い、

Step2として、

 現状の把握に基づく課題の分析、

 課題を克服するための目標の設定、

 その目標を達成するための取組内容の決定

を支援しています。

したがって、「支援ツール」のStep2で得た取組内容に基づいて、②の行動計画の策定へと進みます。
行動計画については、A4 1ページ程度に、計画期間(評価するには、1,2年が良いのではないでしょうか)と計画内容(目標と達成のための行動計画、例えばセミナー、研修、情報共有、意見交換など)を書くことになります。

女性活躍推進法の意味

この法律の意味を理解したうえで、担当部署は自社の事業行動計画に基づき、女性社員が活躍するための行動を具体化させなければなりません。
安倍総理大臣は、アベノミクスの果実を活かし、新三本の矢を放つことで「一億総活躍社会」の実現を目指しています。

日本の総人口は、2060年には9000万人を 割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されている中で、これまでいろいろな事情で残念ながら労働力として活躍できてこなかった「女性」、「高齢者」、「障害者」に活躍の場を広げる法的支援と、その環境づくりを進めています。この中で「女性」についていえば、女性就業率の「M字カーブ」といわれるように、結婚、出産を機に退職せざるを得ず、子育て中または、子育てが終了して再就職する場合には、再就職できたとしても多くがパートタイマーやアルバイトという就業形態になっているという問題点があります。「女性活躍推進法」では、各事業主が「事業行動計画」を作成、実施することで、これまで女性が何となく活躍の場を削がれてきた職場環境から、段階的、継続的なキャリア形成を行い、活躍できる女性にはそれにふさわしい場を提供することで、男女を問わず全ての従業員がその能力を十分に発揮できるようにしてゆくこと、これまで埋もれてきた女性の能力を活かすことを目的としています。女性目線で企画、設計された製品や、女性目線で見直されたサービス品質が、生活の質や満足感の向上に寄与する世の中を創造してみてください。
女性活躍推進法の意味を理解し、ゴールをイメージすれば、自社が作成した行動計画を4月以降どのように具体化して行けばよいのか、わかってくるのではないでしょうか。

一方、女性の意識は?

ここで肝心の女性の就業意識はどうでしょう?
「課長以上の昇進希望を持つ女性は1割程度に過ぎない」という調査結果もあります。もちろんこれは、現状の職場環境では、「長時間労働を強いられる管理職は、仕事と家庭の両立が難しいので昇進したくない」ということなのかもしれません。長時間労働に関するまた別の取り組みはされており、徐々に改善されて行くものと思いますが、「部下を束ねる管理職には、時間の経過が気にならない、自らの仕事への責任感とやりがい意識も重要ではないか」と、一方で女性の意識変革を願うのは、私の偏見でしょうか。

 

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介護休業給付の給付率67%に

介護も何とかして

子育てに係る「保育所落ちた日本死ね!!!」のブログが、大きな反応になっていますが、これに近い問題が、介護面においても潜在的な問題として存在しています。先の見えない介護期間を就労しながら乗り越えようとしても結局、離職せざるを得ない人が、過去5年で40万人以上になっています。また、「介護休業」制度を利用する人が、3%前後に留まるという調査結果もあります(総務省調査)。

厚労省が考える打開策

労働政策審議会の議論を踏まえ、「介護離職」を抑えるために今通常国会で議論される内容の論点は大きく2点あります。

1.介護休業給付金の支給率を現行の40%から67%に増額する(施行予定日:平成28年8月1日)
2.介護休業期間93日を3回まで分割して取得できるようにする(施行予定日:平成29年1月1日)

1の議論は、育児休暇での支給率に合わせる措置となります。また、2の議論は、これまでも、介護休業終了後、例えば要介護状態が変わったという場合は、2度目の取得も可能でしたが、要介護状態が変わらなくても「介護の初期」、「介護施設の移動」、「病院への入退院」、「介護の終期」等の介護休業のニーズが必ずしも連続していないという実情によるものです。休業期間93日を増減しないのは、これまでの休業期間の実績と、休業期間の分割が可能になれば働きながら介護ができるようになることが議論の前提なので、休業期間を延ばすのは論拠にブレが生ずるということでしょう。3回という上限は、企業側の労務管理の負担を考慮したものと思われます。

介護離職に応え得るか

給付金の支給率が67%に上がること、休業期間を3回まで分割取得ができるようになることは、一歩前進であり歓迎すべきことではないでしょうか。せっかくの制度である介護休業を多くの人に利用してもらうために、引き続き制度の周知と、利用方法の利便性の改善をしてゆかなければなりません。ただ、これが「仕事と家庭の両立」を目指すための最終回答では無いでしょう。介護のために家から近い職場に変えるという理由の人への離職防止の答にはなっていませんし、「終わりが見えない」介護に対する支援の回答としては弱い気がします。
また、「自助」「共助」「公助」でいうなら、今回の改正案のような「公助」の考え方も重要ですが、生活コミュニティや職場での立場について、「介護がしやすい」あるいは、「介護休業がとりやすい」「共助」の環境作りもを同時に進めることが「私たちの課題」でもあると思います。

 

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マグマは溜まっている、非正規社員

多様な働き方ってきれいごとすぎる

必要な時に自分がしたい仕事を一定期間する生き方も尊重されなければならないから選択肢としての非正規社員にも配慮しなければならないという意見を聞くことがある。人の生き方をいわれれば、他人がとやかく言うことではないからこの論旨に反論はできない。しかし、実際は大半の非正規労働者が、できれば正規労働者(正社員)になりたいと思っているのではないだろうか。その理由は、単純明快で、正規労働者との給与、教育、福利厚生面で格段の差があるからだ。

同一労働同一賃金だって?

安倍内閣は、ここのところ「同一労働同一賃金」を言い出した。非正規労働者が40%にもなると、これはもう放置するわけに行かないので、まずリップサービスでガス抜きをしようということか。しかしこれは、「連合」が、正社員の既得権益を脅かされそうだということでどう反対しようと、リップサービスだと揶揄されようと実現に向けて具体的に動かなければならない局面にきている。

安倍内閣の危うさ

アベノミクスの輝きに陰りが出てきた昨今、徐々に国民も安倍内閣の危うさを感じ始めている。「保育所落ちた日本死ね!!!」が、そのうち「正社員になれない日本死ね!!!」の叫びになりかねない。もちろん、安倍内閣はそのことを感じているから「同一労働同一賃金」、「一億総活躍社会」のスローガンを唱えたというべきか。来年4月の消費税引き上げ延期をノーベル経済学賞受賞者を「黒船」にして土壌づくりを始めているが、安倍内閣は大丈夫なのか。

常に就業規則等の見直しを

非正規社員を雇用している企業では、労働者派遣法、雇用契約法など非正規社員を取り巻く規定が改定されています。常に社会環境の変化を敏感に察知し、就業規則等関係規程が、時の経過とともに不備なものにならないよう見直し、必要なら改定をする姿勢が求められます。

 

お問い合わせ、ご相談は、当事務所ホームページの「ご相談フォーム」または、下記にお寄せ下さい。

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活躍できる高齢者を支援(キャリア人材バンクの創設)

高年齢退職予定者キャリア人材バンク(仮称)の創設

厚生労働省の平成28年度予算案に、65歳前後の高年齢者のキャリアや能力等の情報を一括管理して、65歳を超えて継続雇用でき、人手を探している企業とマッチングするキャリア人材バンクの創設関連費として、2億6千万円の予算案を計上しています。

人材バンクの機能

(全体を見るには図をクリックしてください)

キャリア人材バンク

既退職者への支援は?

キャリア人材バンクは、あくまでも現在企業に在籍している高齢者の情報を収集、管理、照会する機能イメージになっていますが、60歳を超えて既に定年退職して、何らかの事情で再就職していない高齢者の情報もその中に入れられる仕組みにしていただきたいと思います。

頭脳労働者への支援は?

現在のハローワークは、どちらかというと企業で管理職、専門職を経験してきた人たちの再就職先のボリュームが少ないように感じます。もちろん、定年後の再就職先ですから、現役同様の管理職位等に就くということではないので、再就職を希望する側の意識の変化も重要ですが、これまでの経験、知見をなるべく活かそうとすると、どうしてもハローワークの紹介企業では飽き足らず、全国6か所の「人材銀行」を利用せざるを得ない状況でした。この人材銀行は、国の実施事業の効率化・スリム化を図る観点から本年3月末をもって廃止されることが決まっていますので、ハローワークでは、人材銀行の役割もしっかりと担っていただかなければならないと思います。

 

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人材不足なトラックドライバー

トラックドライバーの労働環境

国土交通省が実施したトラック輸送状況の実態調査によると、1運行でドライバーが拘束される時間は、全体の約4割が13時間を超えています。トラック輸送の場合、荷物の積み下ろしやそのための待ち時間(手待ち時間)も拘束時間に含まれるので、手待ち時間がない場合より2時間近く拘束時間が長くなっています。
また、昨年国土交通省と、厚生労働省が発表した資料によると、29歳以下のドライバーの割合が年々減少し、2014年にはトラックドライバー全体の10%にも満たず、一方、55歳以上のドライバーは全体の25%で横ばいであり、全体の有効求人倍率は、1.55と若年者の人手不足が顕著に表れています。
拘束時間が長いことと、休息期間(運行から運行までの時間)が8時間以上確保できていないという労働環境の悪さが、トラックドライバーの人手不足の原因になっています。

労働環境改善の施策

労働環境を改善する施策として、国交省も厚労省も、それぞれに「魅力ある職場づくり」、「人材確保・育成施策」を発表しています。しかしながら、これらの施策を見る限り、国交省の施策は、机上のお題目で具体性がなく、国交省の施策は、他産業でも同列に行っている施策を並べてるにすぎず、トラックドライバーの労働環境改善に特化した施策とは思えません。

運行上の問題点

看板方式のしわ寄せ:到着地へのジャストインタイムを強いられるため、1日に何回も少量の荷物を、多少の運行上の遅れを見越しながら早めに着くようトラックドライバーが調整するので、早く着いたときは、現地での待機となる(待機時間の増加)
宅配便の2度配達:届け先が不在の場合の再配達による拘束時間の増加

国交省の施策

ITを活用した中継輸送の実証:これまでも荷物を途中、フェリーで運ぶような経路の場合、フェリーの出発地の船着き場まで運行したドライバーは、トレーラーの荷台をフェリーに乗せて引き返し、到着地の船着き場から別のドライバーが運行することで拘束時間を抑えることは行われていました。国交省の施策で数少ない具体案は、この船着き場の部分を、営業所などの「中継輸送地」に置き換えて、ITを活用した運行管理・労務管理システムを開発し、実証運行を実施するという計画です。ただし、上にあげた運行上の問題点の改善にはならないように思われます。

 

 

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