未払い残業代の縮小、回避

あらゆるところで労基法違反

残業代の未払い」に関して、労使の間で何となくそれまでの慣習や成り行きで行われてきたことが、労働基準法に照らし合わせると、使用者(会社)側に不利に働くことが多くあります。最も多いケースが、就業開始時刻までの準備のための時間です。
例えば、作業着の着用を義務付けているのに、作業着への着替え時間を就労時間の外にしている。「未払い」という点では、残業代ではありませんが、当日、使用者側の理由で、臨時休業(または、派遣労働者だけ待機)にした場合、「今日は休み」の連絡を入れるだけで済ませている(休業手当の不支給)なんてことはありませんか。

縮小、回避策

上の例は、使用者側に不見識ですが、残業とは何かを改めて考えると、「残業代の未払い」のある部分を縮小、あるいは回避できます。それは、労働者の就業時間を使用者が100%把握するという基本を守ることです。
つまり、残業命令を使用者が出しているのか、労働者が事実上毎日の残業の有無を決めているのかで大きく異なります。

自ら「ブラック」になっている

自分の残業を労働者が決めているという現実は、どの会社でもよく見かける光景ですが、使用者がその実態を良しとしているなら、その時間に対する残業代を支払わないのは「未払い」となります。あるいは、残業代未払いの隠れ蓑として、少し高度な企業では、「裁量労働制」を採用しているという話も聞きますが、労働基準法をうまく利用したつもりが、実は、「裁量労働制」の真意を解さず、隠れ蓑としてだけで導入すると、開けてはいけない「ブラック企業」への門を開けてしまう結果になりかねません。

就業規則の見直し

「未払い残業代」の縮小、回避策として労働基準法等から隠れ蓑を探すのではなく、いまの御社の就業規則を見直すことをしてはいかがでしょうか。労働時間の管理を使用者(会社)側に取り戻すための正当な見直しと変更をすることで、適正な残業代の支払いが行える解決への糸口を見いだすことができます。
「コラム」という制約上、どうしても粗削りな言い回しや記事の内容になってしまい勝ちですが、要するに御社の基本規程である「就業規則」を未払い残業代に限らず、課題ごとに常に見直すことで、多くの問題解決の糸口を見出すことができるということなんです。

 

 

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マイナンバーふたたび

行政の現状

昨年10月から通知カードの発送当、徐々にマイナンバーに関する情報が明らかになり、今年からいよいよ活用されていますが、ひと月経過したいま、運用はどうなっているのでしょうか。

行政の対応は、昨年10月以来遅延が目立ちます。昨年は、通知カードの発送が遅れ、何らかの理由で通知カードが本人の手元に届かないという事例がありました(まだ完全解決には至っていません)。また、本年の初めから、希望し、手続きをした人たちに個人番号カードを発行する件は、システムの不具合などのためにいまだに発行されていないようです。

企業の対応

行政側の遅れに対して、各企業の対応状況はどうでしょうか。年末に各所で開催されたマイナンバー説明会は、盛況だったようですが、現在の状況はどうなのでしょうか。マイナンバーの取得(収集)に向けた従業員への説明から始まったはずの一連の作業とは別に、「特定個人情報」の人的・物理的管理体制は、整っていますか。当コラムの昨年10月12日のコラム「情報セキュリティ対策とマイナンバー」に以下の記述をしました(以下に、「情報の物理的管理」の部分を引用します)。

 

「マイナンバー法」でも求められている情報(個人番号を含む特定個人情報)の物理的管理について触れておきたいと思います。特定個人情報が自社の重要情報に含まれることは自明なので、この情報を漏えいさせないためにとるべき施策として、以下を決定します。
1.特定個人情報を取り扱う組織の決定
2.その組織内の取扱責任者並びに取扱担当者の任命
3.特定個人情報を扱う「取扱区域」の決定
4.特定個人情報ファイル(紙ファイル、電子ファイル)を保管する「管理区域」の決定
そして、「取扱区域」と「管理区域」にアクセスしづらい仕掛けとしての施錠管理が必要になります。「区域」というとある程度の広さの物理的空間をイメージしますが、鍵付きキャビネット一つを「管理区域」としても差し支えありません。そしてくれぐれも、特定個人情報及びこの区域に携わる「人間」の意識を教育することが重要です。

 

各企業においては、2月1日現在の対応状況と上記内容とのギャップが少しでもあるなら、行政の遅れがどうであれ、ギャップが少ない今のうちに、再度見直してみていただきたいと思います。特に「管理区域」を自社内に設置しない選択肢はないのかの検討は、セキュリティ対策上重要ではないでしょうか。

いまさら聞けないマイナンバーといわず、当事務所では、いつでもマイナンバー全般に関するご相談に応じます。

ご相談は、電話もしくは、ご相談フォームから。

 

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配偶者控除、配偶者手当の見直し

配偶者手当の見直し

政府は、扶養者(夫と仮定する)の課税対象となる被扶養者(妻と仮定)の年収(103万円)にかかわらず課税し、一方で妻の収入にかかわらず一定額を夫の収入から差し引く「夫婦控除」を導入する方向で検討してきましたが、2016年度の税制改革では、これを見送る方針を昨年10月に固めています。しかし、ここへきて、各企業が独自の判断で出しているケースがある配偶者手当て制度の見直しに関する検討に入りました。政府が掲げる女性活躍推進の妨げになる制度との見解によるようです。

各企業の取り組み

家族手当がある企業のうち90%が配偶者手当を支給している現状で、すでに配偶者手当制度を見直している企業も出始めています。その典型例は、これまでの配偶者手当の名目を基本給や他の扶養者向け手当に組み入れ、賃金の総額が減らないようにしているケースと成果主義人事制度への転換とともに家族手当そのものを廃止したケースに大まかに分かれます。

今後の予定

政府は、今年3月までに配偶者手当の見直しに関する報告書をまとめる予定です。本来、各企業の裁量で決める各種手当にまで介入することへの疑問が残ります。

気になる女性の意識

一億総活躍社会、女性活躍推進と政府の旗振りが活発化する中で、日本生産性本部の調査では、女性新入社員の73%が管理職になりたくない(男性新入社員は、38%)と答えています。今後はその理由を分析し、これまでの男性中心の就労形態そのものの見直しが重要であり、同時にこの方面の改革も求められています。

 

 

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キャリアアップ助成金による106万円の壁打破

キャリアアップ助成金の活用

 

キャリアアップ助成金の活用に関する案として、昨年12月7日の経済財政諮問会議で塩崎厚生労働大臣は、今後労働力需給がひっ迫する中で短時間労働者の労働参加の促進や、短時間労働者の所得並びに年金の確保への推進を明らかにしました。
このことの目的は、先々週の社労士コラムで述べた「106万円の壁」を見据えて、短時間労働者がかえって就業時間を自己規制することのないよう、「106万円の壁」を超えて、社会保険料を支払ってもなお、手取額が従来の額以上になるよう側面から支援することにあります。

 

対策(案)の内容

①賃金の引き上げを行う事業主への支援
・短時間労働者の賃金を2%以上増額させた場合、1事業所当たりの人数と対象範囲に応じて、5万円~300万円(大企業はその3/4、以下同じ)を助成します(本年4月から平成31年度までの措置)。
・被用者保険が適用となる短時間労働者等について、賃金を3%以上増額した場合、2万円/人を助成(14%以上で10万円/人)します(本年10月から平成31年度までの措置)。

 

②労働時間延長を行う事業主への支援
・週労働時間を5時間以上延長し被用者保険を適用した場合、20万円/人を助成します(本年4月から平成31年度までの措置)。
・賃金の引き上げと合わせて処遇改善に取り組み、週労働時間を1時間以上延長した場合、4万円/人(4時間以上延長で、16万円/人)を助成します(本年10月から平成31年度までの措置)。
注)①、②の助成金は、いずれも1事業所当たり300万円が上限です。

 

短時間労働者の手取り額(計算例)

対策案の内容に沿った賃上げや労働時間の延長を行った場合の手取り額を計算すると、
・賃金を3%(1,000円/時→1,030円/時)増額、労働時間を週5時間(20時間/週→25時間/週)延長した場合、
従来の計算式:1,000円/時 x 20時間/週 x 4.33週/月 = 86,600円/月(社会保険料支払いなし)。
増額、延長後の計算式:1,030円/時 x 25時間/週 x 4.33週/月 = 111,498円/月
標準報酬月額が、110,000円になるので、社会保険料は、16,164円(協会けんぽ保険料、厚生年金保険料)となり、手取額は、111,498 – 16,164 = 95,334円/月になります。
このような働き方の選択ができれば、社会保険料を支払ってもなお、手取り額を増額できます。このことにより、将来、国民年金だけでなく厚生年金が支給されることになります。
短時間労働者の労働時間を週5時間延長できるかは、助成金を申請できる事業主がそれを認めたとしても、労働者のそれぞれの事情がありそんなに単純ではありませんが、賃金を3%増額する想定に対しては、キャリアアップ助成金が事業主を支援します。

 

事業主が得る助成金(計算例)

本年10月以降平成31年までに被用者保険が適用となる短時間労働者の賃金を3%増額した場合、1.5万円/人(501人以上の大企業の場合)のキャリアアップ助成金が得られます。
また、週労働時間の5時間延長を認めれば、15万円/人(501人以上の大企業の場合)のキャリアアップ助成金が得られます。
ただし、事業主として、短時間労働者の社会保険料の折半分を納付することになります。

 

 

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労働基準法、平成28年度改定

あけまして、おめでとうございます。                                                                 i-saru73
本年が、皆様にとって良き年でありますことをお祈り申し上げます。

 

労働基準法の改正案は、労働政策審議会からの「おおむね妥当」との報告を受け、昨年4月に閣議決定され、国会に提出されています。昨年の国会では、いわゆる安保法案の影響で、可決に至っていないものの、施行日が4月1日(一部、平成31年4月1日)ということからこの通常国会での可決成立の可能性が高い法案です。年頭に当たり、その内容を概観します。

法案の提案理由

国会に提出された法案には、その提案理由が書かれています。
すなわち、
長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、
年次有給休暇にかかる使用者への義務付け、
高度な専門的知識等を要する業務に就き、かつ一定額以上の年収を有する労働者に適用される労働時間制度の創設等
の所要の措置を講ずる必要がある。」
つまり、一定の条件を満たした労働者にその能力をいかんなく発揮してもらうため、労働時間の規制を撤廃する。しかし、それだけでは、労働時間が無制限になってしまう恐れがあるので、労働者全般の年次有給休暇の取得に関して使用者に義務付けをし、時間外労働に関する行政官庁の助言指導を強化するというものだと解釈されます。

法案の概要

多様で柔軟な働き方の実現に向けて

・フレックスタイム制の見直し
・企画業務型裁量労働制の見直し
・特定業務専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等として

・中小企業における月60時間超の労働時間に対する割増賃金の見直し
・著しい労働時間に対する助言指導を強化するための規定の新設
・一定日数の年次有給休暇の確実な取得
・企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取り組み促進

このうち、「中小企業における月60時間超の労働時間に対する割増賃金の見直し」の施行日は、平成31年4月1日、その他は、今年の4月1日です。

労働時間の規制がなくなる労働者

課題解決型提案営業をする営業職裁量的にPDCAを回す業務に従事する企画職
これらの業務に該当する者は、収入面の条件がないので際限なく該当することになり、運用には注意が必要です。労働政策審議会のうちの労働条件分科会で、企画業務型裁量労働制に、該当営業職と該当企画職を追加することには、「長時間労働になる恐れがある労働者の範囲が拡大することとなる」ので認められないとの意見がありました。

高度の専門的知識を必要とする、いわゆる高度プロフェッショナル
収入面で少なくとも1,000万円以上の年収を有することが条件になっています。

この法案は、一部労働者の能力をいかんなく発揮してもらうために、長時間労働の抑制策によって、長時間労働になることなく、その成果を結実するのか、労働組合などが言う「残業ゼロ法案」でしかないのか、慎重に行方を見守り、意見を述べなければならないと思います。

 

 

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106万円の壁、社会保険の新たな境界

平成28年10月施行

厚生年金保険法等の法律が改定されて、短時間労働者(法律上は、パートタイム労働者といい、準社員、嘱託、臨時社員、アルバイト、パートタイマーなどの名称に無関係です)が、その働き方を考えなければならない法律の「壁」が、平成28年10月から「短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大」で施行されます。労働者側は、「壁」とマイナスイメージでとらえますが、行政側は、
・被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正する
・社会保険制度における、働かない方が有利になるような仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える
ことを念頭に置いているとのことです。

適用対象者の条件

106万円の壁」は、現状の「130万円の壁」に全面的に置き換わるものではなく、以下の条件をすべて満たした方々にとって、社会保険に加入するか否かの境界が、130万円から106万円に変わるというものです。
条件:
1.週の所定労働時間が20時間以上あること
2.賃金が月額8万8千円(年収106万円)以上あること
3.勤務期間が1年以上見込まれること
4.学生でないこと
5.規模501人以上の企業であること

条件の留意事項

3に関しては、当初の契約期間が1年未満でも、継続契約の可能性があり、それも含めると1年以上になりそうというときも「見込まれる」ことになります。
4に関しては、現在の130万円の壁では、学生であってもなくても変わりがなかったものが、「106万円の壁」で条件になりましたので、学生の場合は、これまで通り「130万円の壁」になります。
5に関しては、労働者側の条件ではなく、折半で社会保険料を支払うことになる企業側の条件です。しかし、労働者がどの規模の企業で働くかによって、労働者の壁の金額が変わることになります。ちなみに、派遣労働者の場合、この企業規模とは、派遣先の企業規模ではなく、労働契約を結ぶ派遣元の企業規模になります。

時給1,100円

短時間労働者の時給が、1,100円で週に20時間の労働時間とすると、4週ある月で、
1,100円 x 20時間 x 4週 = 88,000円
です。

 

 

 

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改正労働者派遣法に関するその他の義務

労働条件面の配慮

 

このコラムでこれまで不定期に改正労働者派遣法の骨子について、私見を交え述べてきましたが、この法律は、当然ながら法の趣旨を全うするための周辺措置についても、派遣元及び派遣先にいくつかの義務付けをしています。
まず、派遣先の直接雇用労働者派遣労働者の労働条件面での一定の配慮が求められています。すなわち両者の均等待遇の配慮義務としての、賃金、教育訓練、福利厚生についての規定です。
(1)賃金
・派遣先の直接雇用労働者の賃金水準との均衡等を考慮し、派遣労働者の賃金を決定する配慮義務
・派遣労働者から求めがあったときは、この配慮義務に関して会社が考慮した事項等について派遣労働者に説明する義務
(2)教育訓練
・派遣元からの求めに応じ、直接雇用の労働者と同種業務に従事する派遣労働者に対して、派遣先が教育訓練を実施するよう配慮する義務
(3)福利厚生
・直接雇用の労働者に利用の機会を与える福利厚生施設について、派遣労働者に対しても利用の機会を与えるよう配慮する義務

 

労働・社会保険の適用

今回の改正によらず、労働・社会保険への加入、適用の規制を強化する中で、改正労働者派遣法、施行規則等でも派遣元での、雇用保険法健康保険法厚生年金保険法に基づく派遣労働者の加入義務を強化しています。法の趣旨からは離れますが、派遣労働者としては、これらに加入し保険料を支払うことで自らの労働・社会環境を改善するか、当面の手取り額を確保するかは、その働き方の選択によります。

 

労働者派遣事業報告書

派遣事業者が、これまでの許可制もしくは届出制から、許可制に一本化されたことで派遣元事業主は、毎年、事業所ごとに事業報告を都道府県労働局経由で厚生労働大臣に提出しなければならなくなりました。この事業報告書により、雇用安定措置状況、教育訓練の実施状況等が報告されることになるので、改正前に特定労働者派遣事業者(届出制)だった派遣事業主は気を付けなければなりません。

 

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ニュースレターを無料配信します

ニュースレターのお申し込み方法

毎月初めに発行している、当事務所の「Axisニュースレター」をご希望の企業様に無料配信いたします。お気軽にご用命ください。
ご希望の企業様は、「Axisニュースレターお申込み」をクリックするか、「ご相談フォーム」をクリックして、開いたページのフォームに従ってお申し込みください。その際、「お問い合わせ種別」は、リスト内の「Axisニュースレター配信希望」としていただきますと、処理がスムーズに進みます。

 

ニュースレターの内容(発行済み)

毎月、重要かつタイムリーな情報を、A4版7ページ(月によってページ数が変わることがあります)でお届けします。

 

ー12月号ー

注目トピックス:
長時間労働の改善を「投資先の見直し」から考える
特集:
・掃除時間は給与を支払うべきか
・勤怠管理方法の注意点
話題のビジネス書を斜め読み
事務所だより
経営診断ツール:
長時間労働改善ワークシート

 

ー11月号ー

注目トピックス:
企業内人材育成推進助成金の創設について
特集:
・能力不足の社員を解雇できるか
・雇用契約と業務委託契約の違いについて
話題のビジネス書を斜め読み
事務所だより
経営診断ツール:
業務委託契約チェックシート

 

お願い

配信方法は、ご登録メールアドレスのご担当者様宛メールへのニュースレター(PDF)の添付とさせていただきます。
毎月初めの発行を予定していますが、発行日は、多少ずれることがありますので、あらかじめご了承ください。

 

おしらせ

 

 

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人材育成、経営者の役割

企業成長の源泉

かつてもてはやされた成果主義は、個人の矮小な成果主義に転嫁され、部下や後輩を育てるという根本を見失った反省から、昨今では人材育成(従業員の質的向上)こそが企業成長の源泉として見直され、その具体策も議論されています。
いわく、
1.従業員に学びの機会を与える
2.学びの機会を仕事に組み込む
3.小さな成功体験を味合わせる
4.中間管理者以上の者に、人材育成の責任を持たせる
等です。
このためには、人材育成は、経費節減時の調整弁ではなく、将来に向けての投資と捉えることが重要になります。

 

中間管理者の育成

上記の議論の中で、「4.中間管理者以上の者に、人材育成の責任を持たせる」ことが、実は難しいと言われています。なぜなら、彼らの多くが、かつての成果主義的人事制度の中、社内で誰からも育成された経験がなく、これといった教育も受けずに現場に張り付きながら育ってきた人々だからです。これは、10年前の話ではなく、多くの中堅、中小企業で今でもいえることです。つまり、育てられた経験がない者に「人材育成の責任」だけを持たせても、どうしていいかわからないことになります。育成とは、若年層の育成と考えがちですが、中間管理者向けにも同時に、彼らにふさわしい教育カリキュラムの取り込みが必要になります。

 

中間管理者の育成カリキュラム

中間管理者自身の能力を伸ばすために求められる「マネージメントスキル」や「コンセプチュアルスキル」についてのカリキュラムも必要なことですが、ここでは述べません。「中間管理者が部下、後輩を育成する」ことに特化すると、その重要な点の一つは、なにも市販の教科書や専門書を読み解くことではなく、所属する企業の方向性経営者の理念を自分なりに咀嚼して、部下、後輩に伝えることではないでしょうか。ここで重要なことは、壁に張り出された企業理念を朝礼で唱和することではありません。自身の言葉で、「その心」を伝えることが重要です。

 

経営者こそ教育者

経営者が、若年層の一人ひとりを対象に、企業理念を語れる企業は幸いです。しかし残念ながら、そうしている時間がないのであれば、その「語り部」の役割を中間管理者にゆだねなければなりません。したがって、経営者は、企業理念やその想いを、中間管理者の腑に落ちるまで、あらゆる機会をとらえて正しく伝える努力を惜しんではならないと思います。
「人材に不満があるとすれば、それは人材に恵まれていないのではなく、人材を育てられないからである」(「中小企業の人材確保・育成10カ条」から)といわれます。経営者こそ教育者の教育者として、人材育成の中心でもあるのです。

 

人事・労務管理コンサルテーション

 

 

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改正労働者派遣法の二面性

派遣期間制限の見直し

改正前の派遣受入可能期間は、いわゆる26業務については、制限なし、その他(いわゆる自由化業務)は、原則1年(最長3年)であったのに対して、改正(平成27年9月30日施行)後は、26業務という特別扱いを無くして、どの業務も一律に「個人単位」と「事業所単位」で3年の期間制限を設けることになりました。 すなわち、施行後の派遣契約では、有期契約の派遣労働者Aさんという個人は、業務にかかわらず3年を超えて継続就労できません。しかし、この見直しだけでは、派遣元と派遣先がAさんを通じて、せっかく信頼関係を築いたころ、契約が終わってしまうし、何よりAさんが3年を超えて継続就労を希望する場合に酷なので、「事業所単位」での期間制限を3年とすると同時に、派遣先企業が3年を経過する1か月前までに自社の過半数労組(過半数労組がない時は、過半数代表者)の意見を聴取*すれば、3年単位で派遣受入期間を延長できるとしました。 このことによって、Aさんは、「個人単位」では、継続就労ができませんが、「事業所単位」では、受入期間が3年間延長されるので、結果として、同じ事業所内のそれまでと異なった「組織単位」(例えば、同じ人事課ではなく、経理課で)で継続就労が可能になります。
*「意見を聴取」とは、意見を聞けばよいので、手続上の瑕疵がなければ、そこで労組がどんなに異議を唱えても、派遣先事業主が望めば延長ができることになります(会社側は労組に対応方針を説明しなければなりません)。

派遣元の雇用安定措置

このように改正派遣法は、本来、派遣就労は、”臨時的・一時的”な、補完的就労形態という原則から、直接雇用や無期雇用を志向するための「雇用安定措置」に重きを置くために派遣期間は、例外なしに3年という期限を設けるという改正と、派遣就労という働き方の選択肢も認めなければならないという二面性を取り入れたような内容になっています。
「雇用安定化措置」とは、派遣先企業に3年も就労している労働者に、派遣元は、労働者の意向を尊重しながら
(1)派遣先へ直接雇用を依頼する
(2)継続就労できなかった時は、新たな就業機会(派遣先)を提供する
(3)派遣元で無期雇用する
(4)その他の雇用継続措置(例えば、新たな就業機会を確保するまで有給で教育する)
という雇用安定化措置を努力義務(場合によっては強制義務)としなければならないとしています。

さらに待ち受ける40条の6

改正労働者派遣法では、派遣労働者を保護する措置として、40条の6で派遣先企業の違法行為に対するペナルティを明確に規定しています。これが「労働契約の申し込みみなし制度」です。
この制度については、本年7月27日の本コラム「労働契約申込みみなし制度(平成27年10月1日施行)」で書きました。