解雇無効時金銭救済制について

 

解雇無効時金銭救済制度

何らかの理由で解雇を言い渡された労働者が裁判によって「解雇無効」を勝ち取ったと場合、職場復帰が叶うわけですが、この制度が成立すると、職場復帰に替わる金銭(救済金)の支払いで労働契約を終了できるというものです。

 

制度導入の趣旨

本制度導入の趣旨は、解雇無効により職場復帰ができる状況になっても、実際には職場復帰せず、退職を選択する労働者が一定数いて、その際、わずかな和解金しか手にしていないという状況を踏まえて、きちんとした金銭解決ルールがあれば、それなりの救済金をもらって退職ができるようになるというものです。

 

連合など労働者側の反論

連合などの反論は、解雇無効になるような「不当解雇」でも、救済金を払えば、労働者を合法的に解雇できる制度の創設になるというものです。

 

労働者の意思が大事

双方の意見が対立したまま労働政策審議会の審議の開始見通しさえ立たない状況ですが、肝心なのは労働者(当事者)の意思ではないでしょうか。解雇無効を勝ち取った労働者は、職場に復帰するもよし、退職するもよし、自分がどうしたいかです。つまり、連合などの反論を払拭するには、本制度ができたからといって、解雇無効時に無条件で救済金を払って退職にできるという制度にするのではなく、当事者本人が職場復帰を望めば、救済金による解雇はできないとすればよいのではないでしょうか。

 

むしろ職場復帰後のケアまで議論してほしい

当事者が退職を選択した場合、「不当解雇」だったという使用者責任に見合った救済金を出すように制度化することはもちろんですが、むしろ職場復帰を選択した場合、裁判を戦った会社と当事者との対立関係をそのまま、復帰した職場に持ち込むことのないよう、職場復帰後の当事者に対するケアについてまで踏み込んだ議論がされることを願います。

 

 

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36協定はありますか

時間外労働 休日労働に関する協定(いわゆる36協定)の特別条項が締結されていれば、時間外労働が無制限にもできたこれまでの労働基準法に、特別条項を締結していても時間外労働時間に上限を設けることとする改正がされましたが、その前にそもそも残業を命じるためには、36協定が必要であることを知っている労働者は5割半という調査結果を連合が発表しました。

36協定がないと残業は許されない

毎日のように残業をしている労働者もその半数は、残業の法的根拠である36協定が必要であることを知らないということですので、もう一度、36協定を復習しましょう。
会社が労働者に残業や休日出勤を命じることができるのは、従業員の過半数で組織する組合又はそのような組合がない時は、従業員の過半数を代表する従業員代表と協定を結び、その内容を労働基準監督署に届け出なければなりません。

36協定で決められる時間外労働時間の上限

下の表のように、36協定で労使が協定できる労働時間の上限が決められています。

上限 1年単位の
1日 8時間 変形労働
1ヶ月 45時間 42時間
1年 360時間 320時間

今回の連合の調査によると、36協定を締結していない企業が17%です。この17%の企業は、残業も休日労働もないハッピーな会社なら何の問題もありません。
36協定を締結していないが17%この協定に違反すると、労働基準法32条(労働時間)または、35条(休日)違反であり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。 ただし、36協定内で特別条項を決めておけば、この上限を超えて残業が許されることになります。特別条項にも、この条項を発行するのは、やむを得ない繁忙期に限るとか、年に6回までとなっていますが、これまでは、事実上の無制限にもなり得ました。そこで、改正労働基準法では、特別条項を決めていたとしても、残業は「月100時間未満」とし、「年間720時間」の上限を設けました。720時間の枠内であれば、2カ月から6カ月の平均では「80時間」、1カ月では「100時間」を基準に時間外労働をできるようにします。ただし月45時間を超える残業は最大で年間6カ月までしかできません。

また、自社が36協定を締結しているかどうかわからないという労働者が38%でした。残業の根拠となる労使協定の存在さえ知らずに残業をし、過労に倒れるということがないよう、労働者一人ひとりが、労働に対する自覚をもって会社の労働環境、自分の労働契約をもう一度確認してみてはいかがでしょうか。

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増えるパワハラ 対策が急務

議員秘書に対するパワハラが問題になっていますが、企業内の「いじめ・嫌がらせ」は、個別労働紛争事件の相談内容で断トツの一位を占めています(平成28年度、7万1000件で「解雇」の約3万7000件を大きく引き離しています)。

パワハラの定義

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・肉体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
具体的に6類型を示すと以下のようになります。

・身体的な攻撃ーーーーーーーーー暴行・傷害
・精神的な攻撃ーーーーーーーーー脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
・人間関係からの切り離しーーーー隔離・仲間外し・無視
・過大な要求ーーーーーーーーーー業務上明らかに不要な事や遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
・過小な要求ーーーーーーーーーー業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
・個の侵害ーーーーーーーーーーー私的なことに過度に立ち入ること

暴行や傷害は、言わずもがなですが、ことの本質と無関係の侮辱は、その言葉を発したほうが、情状の余地なく社会的制裁の対象になることを肝に銘じておくべきです。今の時代、「密室だからばれない」という考えは、「甘い」と言わざるを得ません。パワハラとは違いますが時々電車内などで乗客同士のトラブルに遭遇するときがあります。この乗客同士のとラブルでは、ことの本質(トラブルの原因)を離れて相手の肉体的弱点を突くような暴言を吐く人がいますね。暴言は、その時点でアウト。周りの誰も味方にできなくなる行為です。

これが会社内での出来事となると、暴言を発した者だけでなく、それを放置したような場合は、会社の責任が問われることになりかねません。

ばれることと肝に銘ずる

セクハラ同様、パワハラもそれをされた方がどう受け止めるかの心理の違いにより紛争リスクの大小が決まってきます。会社として予防・解決に向けた取り組みが必要ですが、上にも述べた通り「密室だからばれない」ではなく、「どんな状況でもばれるんだ」と一人一人が肝に銘じれば、ばれて恥ずかしいことはしなくなると思うのは、いささか甘いでしょうか。自衛のために、車にはドライブレコーダー、ポケットには、ボイスレコーダーが必須な世の中になったのかもしれません。

 

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プレミアムフライデーは定着するか

去る2月24日に、初めての「プレミアムフライデー」がありました。実施した企業、そもそも実施できない企業と、事情は様々ですが、働き方やライフスタイルの見直しを通じて、結果としての消費マインドの向上に資することになれば、政府主導での「みんなで休めば怖くない」的な企画ではありますが、これもまた良しとすべきでしょう。

 

政府と経団連は掛け声だけ

「プレミアムフライデー」を推奨している政府や趣旨に全面的な賛同を表明している経団連は、「月末の金曜日には、できれば午後3時までに仕事を切り上げましょう」と掛け声をかけているだけなので、現場で人事労務管理を担当する部署は、「プレミアムフライデー」と自社の就業規則との整合性をどうとればよいのか悩んだ、あるいはまだ悩んでいるのではないでしょうか。ただ、「プレミアムフライデー」は、長時間労働を是正するための策ではないので、誤解のないようにしたいものです。

 

有給休暇で?

フレックスタイム制

フレックスタイム制を導入している企業で、フレックスタイム制の適用を受けている従業員は、比較的午後3時に仕事を切り上げることは容易かもしれません。

変形労働時間制

また、変形労働時間制を採用し、会社が「プレミアムフライデー」のために、就業スケジュールを組む段階で、当日の労働時間を調整することができれば、これも可能かもしれません。

固定就業時間制

では、固定就業時間制をとる企業では、どうしたらよいのでしょうか。最も良い方法は、「プレミアムフライデー」のために、就業規則あるいは、労働協約を変更することでしょう。これなら、会社のルールとして、「プレミアムフライデー」が定着するはずです。しかし、残念ながらデータがないので何とも言えませんが、「プレミアムフライデー」のために就業規則を変更した企業はどのくらいあったでしょうか。少なくとも2月24日の「プレミアムフライデー」を実施した企業の多くは、半日有給休暇や時間単位有給休暇の取得を推奨していたようです。

 

労働基準法の改正待ち

以前から労働基準法の法整備を目的に、改正法案が国会に上程されていますが、これまでは日程の都合上、その審議にすら入れない状態で棚ざらしにされています。そのいくつかある改正案の中に、「年次有給休暇の取得促進」法案があります。これは、日本の企業ではあまりにも有給休暇の消化日数が低いので、ある条件の下で、会社が時季を決めて、強制的に有給休暇を取らせることができるようにするものです。この法案が成立すれば、会社が強制的に「プレミアムフライデー」の日に半日なり、数時間の有給休暇を取らせることで定着が促進されるのではないでしょうか。
いずれにしても、本法案が成立するまでは、固定就業時間制の企業では、「プレミアムフライデー」に賛同し、参加するためには、会社単位で有給休暇の取得を推奨するといった方法を取ることになるでしょうが、これでは「プレミアムフライデー」の定着には、迫力不足の感が否めません

 

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明けましておめでとうございます

2017年も読者の皆様方にとって、実り多き年でありますことを心よりお祈り申し上げます。

 

当アクシス社会保険労務士事務所も飛躍の年になるよう努力してまいる所存です。
皆様方に置かれましては、倍旧の御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

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年金改正法案は、「年金カット法案」か

現在参議院で議論されている年金改正法案(公的年金制度の持続可能性を図るための国民年金法の一部を改正する法律案)とは、どういう内容かを、年金額の改定ルールの見直しに焦点を当ててまとめ、この法案が野党(民進党)がいう、「年金カット法案」なのか、冷静に見てみる必要があると思います。

 

改正内容

現行ルールでは、物価の変動率と現役世代が受け取る賃金(名目手取り賃金)の変動率を比較して、ケースごとにどちらかの変動率を採用して、新しい年の年金額を決めています。今回の改正案でもこの考え方は変わらないのですが、どちらの変動率を採用するかの部分で、野党の言う「年金カット」になるケースがあるのです。 具体的に見てみると、物価変動率が賃金変動率を上回った場合に起こります。
①物価が上昇(変動率がプラス)し、賃金が下がった(変動率がマイナス)場合
現行法では、間をとって年金額を前年度の額に据え置いていたのに改正案では、賃金のマイナスの変動率を採用します(すなわち、年金額が減ります)
②物価が下降(変動率がマイナス)し、賃金も下がった(変動率がマイナス)場合
現行法では、マイナスの変動率が小さい物価変動率を採用していますが、これが、マイナスの

変動率が大きい賃金の変動率を採用します(すなわち、年金額がもっと減額されます)

 

年金世代には、年金カット、現役世代には・・・

上に述べた改正案は、何を意味しているのでしょうか。単なる年金世代いじめでしょうか。今回の改正案は、①、②をよく見れば、現役世代の賃金を基準に年金額を決めようとするものです。逆に言えば、現行法は、現役世代の賃金が物価上昇ほど上がっていないのに(あるいは物価の下落以上に下がってるのに)物価の変動に合わせて年金額を改訂しています。これは、年金世代には優しくても、年金世代を年金保険料で支える現役世代に過酷な制度ではないでしょうか。

 

年金制度の持続と将来世代の給付水準の確保

そこで政府は、公的年金制度を持続させ、将来の年金額があまりに少なくならないように、現役世代の年金保険料の納付率を上げる方策を打ってきましたが(input側の対策)、それだけではなく年金額の改定(outputの対策)にうって出たわけです。
年金に係る財政(将来見通し)について、政府は「有限均衡方式」といって、100年程度の長期の均衡を考え積立金水準を抑制する考え方に立って、方策を打ち立てます。そのために定期的に(今年がその年)「財政検証」を行い、給付と負担の均衡を保つ策として今回の案が提案されています。

 

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電通、投資信託、アベノミクス

電通は鈍感すぎる

電通は、2012年第2次安倍内閣誕生以来いわれているアベノミクス、とりわけ2015年第3次安倍内閣が掲げたアベノミクス第2ステージ「新三本の矢」について、世間では批判を含めいろいろ言われていますが、安倍内閣が本気で進める強い決意であることを感じていないとしか思えません。新人社員の自殺に関する昨今の報道を聞けば聞くほど、前時代の化石かと思わせるほどの労務管理がされていたらしいことが明白になりつつあります。最近の自殺者が複数いること、2度にわたる是正勧告を結果的に無視したことで、電通は、アベノミクスの本気度を知る厚生労働省を完全を怒らせました。メディアを支配するともいわれる、最先端イメージのあった電通の、何たる前時代性でしょうか。また、電通の顧問社会保険労務士は一体これまで何をしていたのでしょうか。同業者として恥ずかしい限りです。

金融機関は大丈夫か

話は飛ぶようですが、アベノミクスの本気度という意味で共通することとして、金融庁が金融機関に改善要求をしている投資信託販売時の手数料稼ぎや運用時の信託報酬の高さ(11月5日の読売新聞の報道によると、年率にして米国の5.46倍の信託報酬を日本の金融機関は取っています)の是正なくして、国民は、アベノミクスが掲げる「貯蓄から投資に」の方針に乗ることはできないと金融庁は分析しています。これには、企業に求められるコーポレートガバナンス・コード、機関投資家等に求められるスチュワード・コードやフィデューシャリー・デューティという考え方が関係しています。金融機関は、明日の電通にならないよう敏感に、そして誠実に反応してもらいたいものです。

一人ひとりの国民はどうなの?

一方、電通でいえば、長時間残業が当たり前だと思って疑わなかった管理職や一部の社員、あるいは、社会生活の中で金融機関を利用する社会人の「お金にまつわる判断力や知識(金融リテラシー)」の低さはどうなのでしょうか。国民一人ひとりが、センサーを高く広く伸ばして、もうちょっと、捉えた情報に敏感、適切に反応する「モノ」を持ち合わせないとこの国の前途は多難といわざるを得ません(自嘲を込めて)。

 

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年金をあきらめないで2

年金受給資格期間

9月27日のコラムで書いた年金受給資格期間の短縮法案が臨時国会に提出されました。9月27日の時点では、明確に書けなかった開始時期は、平成29年8月1日になる見込みです。もともと消費税10%への引き上げ時期と同時にということであった内容を消費税の引き上げより先に実行されることになります。

これまで受給資格期間(国民年金保険料を支払っていたとみなされる期間)が25年に満たないために受給をあきらめていた人が、この法案で10年に短縮されるので約40万人、特別支給の老齢厚生年金対象者などを含めると約64万人が、受給資格を得ることになります。

海外の制度とのバランス

政府は、「未来への投資を実現する経済対策」の一環として国内課題への対応としていますが、海外とのバランスを考慮しているとも思われます。サラリーマンの場合、海外赴任も多く経験するようになり、海外での赴任期間との兼ね合いを考えなければなりません。米国を例にすると米国とは、社会保障協定があるので日米の厚生年金加入期間が通算されます。もし、海外赴任等で6年間米国で労働し、その間米国社会保障制度に加入していた場合、米国の年金受給資格期間はもともと10年ですから日本で4年以上厚生年金に加入していれば米国の受給資格を満たします。しかし、日本の受給資格期間が25年であるために日米を通算しても日本では受給資格を得られないケースがあります。このようなケースで米国から年金を受け取り、日本から年金が受け取れないというアンバランスが二国間の微妙なしこり、とまでは言いませんが不公平感を生んでいたこともあるのではないでしょうか。

受給資格期間の掘り起こし

年金相談などを受けていますと、若い時に病気がちで継続的に国民年金/厚生年金に加入できなかったなどの理由で25年間の受給資格期間を満たさないという話を聞きます。また、「合算対象期間」の存在を知らないために、働いていなかったからその間は受給資格期間にならないと思っている方もたくさんいらっしゃいます。今回25年から10年に短縮される機会に、もう一度「合算対象期間」を掘り起こしてでも、ご自身の受給資格期間を計算してみていただきたいと思います。

合算対象期間

「カラ期間」ともいわれています。いろいろなケースで「カラ期間」が認められていて、この期間は、国民年金保険料を支払っていなくても受給資格期間の通算期間に算入されます。

①20歳前から会社員だった人の20歳までの期間、60歳以降も会社員だった人の60歳以降の会社員期間に厚生年金保険料を払っていた場合

②昭和61年3月までにすでに結婚をしていて、会社員の妻として専業主婦をしていた期間

③昭和61年3月以前に脱退手当金を受けていても、昭和61年4月から65際になるまでに保険料を1回でも納めた方、保険料を免除された方

④20歳以上60歳未満の時期に海外在住だった日本人

⑤平成3年3月以前に学生であった期間

などほかにも「カラ期間」になるケースがあります。

特に、障害年金を受給されていたので、昭和61年3月まで国民年金に任意加入していなかったが、幸いにも障害が癒えた場合、障害年金の対象から外れますが、老齢基礎年金を受給するための国民年金保険料支払い期間を満たしていないという悲劇にならないようこの期間も「カラ期間」に算入されます。ご自身の「カラ期間」については、年金事務所、街角年金センターあるいは社会保険労務士にご相談ください。

 

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年金をあきらめないで

年金を取り巻く状況

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、平成28年度第一4半期に、運用で5.2兆円(5兆2,342億円)の損失を出したことが伝えられています。平成27年度の損失(運用損)が、5.3兆円であったことを合わせると、10兆円が年金の原資から消えてなくなっています。GPIFのホームページを見るとそれでも、平成13年度の運用開始からの累積では、40兆円超の収益を上げていることを強調しています。10兆円という途方もない年金原資を2年で擦ったことに責任を感じないかのようです。

老齢年金をあきらめないで

老齢年金は、受給開始までの長い期間(少なくとも25年間)、年金保険料を納付しなければならず、この納付条件を満たさないために年金受給をあきらめている人もいるようですが、ちょっと待ってください。原則、老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間のうち25年間の保険料納付済期間又は免除期間が必要です。しかし、消費税を10%に上げることを前提に、この期間を10年間に短縮する予定でした。現在は、消費税を10%にする時期にこだわらず、前倒しで10年に短縮することが検討されています。
また、保険料納付済期間と免除期間とは別に「合算対象期間」(いわゆる「カラ期間」)があれば、その期間も併せて25年(10年)あれば、納付条件を満たし、受給資格を得ることができます。この合算対象期間は、どういうとき合算対象期間とされるのかわかりづらいので見逃している人が多いのが実情です。あと少しの期間があれば納付条件を満たせるという方は、ご自分のこれまでの人生で合算対象期間として認められる期間がなかったか、日本年金機構、「街角の年金相談センター」あるいは、社会保険労務士に相談してみてください。

障害年金をあきらめないで

障害を抱えた方は、障害認定を経て障害年金を受給できる可能性がありますが、これにも納付要件があります(先天障害や20歳前に障害を負った方は別です)。老齢年金のように25年(10年)という条件ではなく、ご自分の保険料納付済期間と免除期間の合計が、保険料を納付しなければならない期間の3分の2以上であることが条件です。それでも足りないという方、ちょっと待ってください。期間限定(初診日が平成38年3月31日までの場合)で、直近の納付月からさかのぼって連続12カ月間に保険料の滞納がなければ、納付要件を満たすという特例もあります。この特例は、60歳を超えて国民年金の被保険者で無くなっても、例えば61歳時に任意加入して1回保険料を納めれば、その後65歳の前日までに障害申請をした場合、特例に当てはまることになります(61歳時に納付した保険料支払月から遡る12カ月間のうち11か月間は被保険者ではなかったので滞納したわけではありませんから、特例条件を満たすのです)。

個人の事情で千差万別

年金の受給資格、年金額は、その人それぞれのなぞってきた人生により千差万別ですから、一般論で述べることはできません。隠れた「合算対象期間」があるのではないかと思ったら、日本年金機構か「街角の年金相談センター」か社会保険労務士にご相談ください。当事務所でも。ホームページの「ご相談フォーム」からのご相談を受け付けます。

 

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心理と行動がヒント!?

先ごろ金融業界で話題の「FinTech」について、ファイナンシャルプランナーでもあることから調べてみました。しかし、このコラムでは、FinTechについて述べるのではなく、人の心理と行動の関係を書くことにします。
ただ、FinTechについて一言だけ述べるとすると、FinTechの、例えば「ロボットアドバイザー」のアルゴリズムは、いわゆる行動経済学の理論を、無視するのかあるいはうまく取り込む方向にあるのか、FinTechのこれからに注目したいと思います。

人の心理と行動

よく引き合いに出される「問題」形式で、人の心理と行動を実感してみましょう。
問1、問2でそれぞれ、あなたはA,Bどちらを選びますか。
問1
A:あなたに無条件で100万円あげます。

B:コインを投げ、表なら200万円あげます。ただし、裏ならあげません。

 

問2 今あなたが借金を200万円抱えているとして、
A:無条件で借金を100万円に減額してあげます

B:コインを投げ、表なら借金を無くします。ただし、裏なら借金はそのままです。

立場の違いで選択が変わる

上の問題に、「正解」があるわけではないので、あくまでも人の心理と行動の傾向を見ただけですが、多くの場合、問1では、Aを、問2では、Bを選ぶ傾向がみられます。もちろんこの問題の回答傾向を見ただけで、人の心理と行動の理論づけができるわけではありませんが、専門家に言わせると、「人は、利益獲得が確実な時は、リスクの回避を優先し(つまり問1では、Aを選び)、負債を抱えているときは、損失回避のために投機的選択を優先する(問題2では、Bを選ぶ)」ということのようです。

人的管理の分野で

経済の分野で研究されたこの傾向は、日常生活や労働の現場でも人の心理と行動として参考になるのではないでしょうか。
限られた字数の関係で、結論を急がざるを得ませんが、問題を起こす人には、その問題そのものを引き起こした直接的原因の対策だけではなく、その問題を引き起こす前の動機的原因は何だったのかを突き止め、対策を講じることで、本人の再発防止に役立つことになります。その際、人の心理と行動から学べることは、動機的原因を突き止めるためには、ありきたりの一般論で良しとするのではなく、問題を引き起こした人の日常生活や職場における物理的心理的環境(特に人間関係)の分析を重視することが重要です。蛇足になりますが、職場で事故が起きたとき、管理部門は、その現象と原因および対策をまとめ、従業員に広報します。従業員に広報することは重要なのですが、その対策を見ると、本人の不注意を戒めるようなことで良しとしていることが良くあります。そんな浅薄な対策がまかり通っているようでは、管理部門としてすべきことをしていないに等しいと思います。

 

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