限定正社員の活用を

1.限定正社員

いわゆる正社員非正規社員の中間の社員としての「限定正社員」をアベノミクスの成長戦略の一つとして普及・推進しようとしています。職務を限定、勤務地を限定、勤務時間を限定、これらを組み合わせる働き方の社員を「限定正社員」と言います。

2.労働契約法18条関連の限定正社員のメリット

多くの論調で、企業側、労働者側からの限定正社員のメリット、デメリットが展開されていますので、ここでは論旨をしぼって、平成25年4月に規定された労働契約法(労契法)18条の受け皿としての限定正社員のメリットについて述べます。実は限定正社員制度を導入することによって発生する就業規則賃金規程の変更や人事・労務管理の多様化を補って余りある企業側のメリットは、ここにしかないと思うからです。また、労働者にとっても労契法18条の恩恵を躊躇なく受けるには、労働条件を「限定」できるほうが良いのではないでしょうか。

3.職務限定正社員

労契法18条による労使双方のメリットが得られる限定正社員が、「職務限定正社員」です。非正規社員で、再契約を繰り返す場合は、その職種の専門性を活かした、いわゆる職種限定の働き方をしているので、労契法18条による権利の行使で正社員になるとき、職務限定正社員になることに労使とも抵抗はないと思われます。

4.限定正社員の活用

労契法18条に基づき無期労働契約に転換する従業員の発生は、平成31年4月以降です。その時に、無限定な正社員を受け入れざるを得ないことのないよう、いまから限定正社員について知り、労使双方のメリットが活かせる「職務限定正社員」を取り入れる就業規則の変更をお勧めします。

時間管理規程の重要性

1.時間外勤務等の実態

労働時間とは、労働者が使用者の明示または黙示の指揮命令ないし指揮監督のもとにおかれている時間です。したがって、もちろん所定外労働も使用者(上司)の指揮命令ないし指揮監督のもとに行われなければなりません。しかしながら多くの時間外勤務や休日出勤等は、「黙示」の指揮命令として行われているのではないでしょうか。

2.勤怠管理システム

もはや古典的勤怠管理方法である「タイムカード」による出退勤時刻の打刻については、PCでのパスワード打刻、指紋指静脈による本人認証、事務所に立ち寄らない時の携帯・スマホによるGPS連携などの方法が採用されつつあります。

3.労働時間の把握

新しい勤怠管理システムの導入で、1分単位の労働時間の把握を命じた労基署の是正勧告について、他人による不正打刻が可能なタイムカードの危うさを除去できることにはなるのですが、勤怠管理システムが示す勤務時間もやはり出退勤時刻の記録でしかないので、所定外労働が妥当だったのかの判断はできません。過去の、タイムカードによる勤怠管理事例で、「タイムカード以上に正確な労働時間の把握をしていたと認める証拠がない以上、所定外労働は、割増賃金の対象」という判例があります。この判例の考え方は、タイムカードに代わる勤怠管理システムを導入しても変わらないものです。

4.労働時間管理規程で明示しましょう

つまり、今まで通り「黙示」の指揮命令で社員に時間管理を任せていると、無意味な所定外労働が相変わらず続くということになりかねません。対策は、勤怠管理のシステムを変えることではなく、「労働時間」の本質に立ち返って、社員の労働時間管理規程を明確化することなのではないでしょうか。すなわち、社員の所定外労働は、すべて使用者(上司)による明示的指示か、または労働者からの申請によるときのみに有効となることを規定し、事前に社員に周知することです。このことにより、所定外労働に関する未払いなどの訴訟リスクは、激減します。使用者(上司)が毎回、すべて社員の申請に目を通し、決済するのは時間的に現実的ではないというのは、管理者としての責務を放棄しているにほかなりません。

駒田徳広氏(元ベイスターズ)と語る

開業社労士として

月刊誌COMPANY TANKのインタビューを受け、元ジャイアンツ、ベイスターズの駒田徳広氏と人材育成を中心にお話をしました。
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開業のいきさつやこれまでの経歴について一通りお話をした後、企業の人材育成とプロ野球選手の育成には共通点が多いことで意気投合しました。
駒田氏は最近の風潮である「フラットな関係」は、勝ち負けのはっきりするプロ野球の世界にはデメリットであること、先輩が後輩にチームの伝統と方針をしっかり伝えることの重要さを強調しておられました。
一般企業の世界でも同じことが言えると思います。経験上「フラットな関係」は、ある意味、責任を取らない上司の隠れ蓑になります。上司が率先垂範して模範を示してこそ部下は心から上司についてゆくし、そこには程よい緊張感が生まれます。
このような上司と部下の関係性を「日本を取り戻せ」の一つに加えてもよいのではないでしょうか。
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マイナンバーへの準備(2)

平成28年1月1日以降適用される「マイナンバー」で企業に求められている基本的なアクションをまとめると以下のとおりです。

  1. マイナンバーの理解

    ①適切・正確な個人番号の把握
    ②従業員やその扶養家族(従業員等という)が自身の個人番号を確実に知ること
    (個人番号は、「通知カード」に記入され、平成27年10月1日から本人の居住地に郵送されま す)
    ③会社が従業員等の本人確認を適切に行うこと
    ④会社が従業員等の個人番号を正確に記録すること

  2. 適法・的確な利用

    ①番号法の範囲内で使用し、目的以外には使用しないこと
    ②諸届の際、管理を厳密に行い、漏えいさせないこと

  3. 適法・厳密な管理

    ①管理方法を決め、管理を厳密に行い漏えいさせないこと
    ②法律で定められた期間保管し、漏えいさせないこと
    ③保管期間を過ぎた個人情報を必ず廃棄し、その記録を残すこと

労働契約申込みみなし制度(平成27年10月1日施行)

平成24年の派遣法改正で決まった同制度の猶予期間が終わり、平成27年10月1日から施行されます。

施行後は、以下の違法派遣を知っていて派遣受け入れを続けると、その時点で、派遣先企業が派遣労働者に対して直接雇用の申し込みをしたとみなされることになります。
したがって、派遣労働者が承諾すれば、その労働者を直接雇用しなければならないという法律です。

  • 違法派遣とは:
    1.派遣禁止業務(*)に従事させた
    2.無許可・無届の派遣会社から派遣を受け入れた
    3.派遣受入可能期間を超えて派遣を受け入れた
    4.偽装請負に該当する
    *派遣禁止業務とは、
    1.港湾運送業務
    2.建設業務
    3.警備業務
    4.医療関係業務
    5.いわゆる士業
    など

一方、7月27日現在、参議院で審議中の派遣法改正案では、これまで「専門26業務」としていた業務が廃止されます。
この現在審議中の法案が10月1日までに成立しないと、「専門26業務」が残ったまま、労働契約申込みみなし制度が施行されてしまうので、違法派遣と知りつつ受け入れてきた企業では、専門26業務については、期限のない直接雇用の申し込みをしたことになります。

リスクアセスメントの重要性

リスクアセスメント」という言葉を最近よく聞きます。
労働安全衛生法では、主に屋外での作業を伴う業種などが実施するよう努力義務化されています
が、どの企業も「リスクアセスメント」を行って職場の安全性(裏を返せば、潜在的な危険性)
を洗い出してみてはいかがでしょうか。

法的根拠

職場の労働安全性をあらかじめ評価し、危険性又は有害性が顕在化しないようにする
ことが努力義務化されています(労働安全衛生法28条の2)。

努力義務が課される事業者とは

製造業、林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、電気業、ガス業、
熱供給業、水道業、通信業、卸売業、小売業、旅館業、ゴルフ場業、
自動車整備業、機械修理業、及び化学物質・化学物質を含有する製剤で
労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものに係る業種

リスクアセスメントの手順は

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労働者の就業に係る
1.危険性又は有害性の特定
2.負傷又は疾病の重篤度、発生可能性の度合いの程度(リスク)の見積り
3.リスク低減の優先度の設定及びリスク低減措置の検討
4.リスク低減措置の実施

1の「危険性又は有害性の特定」といわれたとき、身の回りの危険性や有害性が列挙できる
でしょうか。多くの場合、たとえば、電源コードが床を這っていると、
「電源コードにつまづく」、「電源コードから出火する」などが「危険性」と思いがちですが、
リスクアセスメントでは、「電源コード」の存在そのものを「危険性」として取り上げます。

リスクアセスメントを知り、視点を変えると、リスクの低減措置が、より効果を発揮します。

マイナンバーへの準備

2015年10月から住民票の住所地に順次「通知カード」が郵送されます。
また、2016年1月から行政手続き(届け出書類)の一部に「マイナンバー」を記入する必要が出てきますが、特定個人情報に位置付けられる「マイナンバー」は、従業員から気軽に聞き出せません。
あらかじめ会社として、特定個人情報を扱う担当者の選任、「マイナンバー」の収集・管理手順・規則の文書化、従業員への周知・収集、情報漏えい防止措置が、例外なく求められています。「うちは今まで通りでいい」というわけにゆきません。
今からでも早急に検討を進めることをお勧めします。